「カルマを観る目」ヴェーダ哲学から生まれたインド占星術

ASAKOのブログ

ヨガやアーユルヴェーダに興味のある人は、耳にしたことがあるかもしれない「インド占星術」。

古い歴史を持つインドで編み出されたインド占星術は、その的確さから今でもインドやスリランカでは人生の転機で必ず用いられる占いの一つと言われています。

12星座の西洋占星術との違いと、インド占星術の由来や目的についてお話します。

インド占星術の由来について

占星術とは

天体を使った測定法である西洋占星術とインド占星術で使用する、天空を12星座に分割して星の動きを読むというシステムです。

これは紀元前5,000年ごろ、メソポタミア文明の時に成立したと言われています。

太陽の年周運動である黄道近くに存在する恒星に目印をつけ、12星座に分割したものです。

これは「サイデリアル12星座」と言われ、実際に肉眼でも確認できる実在する星座のことを言います。

西洋占星術の成立とインド占星術

紀元前4世紀の後半、インド北西部からメソポタミア、ギリシャ、エジプトを統一したアレキサンダー大王が東西文化の橋渡しをしたと言われています。

文化と同様に、インドのメソポタミア起源の占星術も、当時ギリシャに渡り、ギリシャで発達した天文学と結びつきギリシャ占星術が成立したと言われています。

そしてその後、紀元前160年頃、ヒッパルコスにより、春分点の交代運動が発見され、春分点を牡羊座0度として毎年調整する現代の西洋占星術でもある「トロピカル12星座」が登場しました。春分点を起点として黄道上を12分割したものです。

しかし、インド占星術は、古代の「サイデリアル方式」を採用しているため、現在の西洋占星術と基点が異なってくると言われています。

インド占星術独自の考え方

インド占星術には、「サイデリアル方式」ともう一つ「27ナクシャトラ」という概念があります。

これは古代インドで独自に発達した考え方で、月を基準に天体を27分割する考え方です。

これは「月の星宿」と言われ、のちに中国の陰陽五行や干支学によっていうまれた「宿曜経」の原型と言われています。

27ナクシュトラとは、地球からみた月の周期(約27日)の白道を基にした考え方です。

この月の周期を基準として考えるシステムが古代中国の「二十八星宿」にもみられますがこれとは別のもので、27ナクシュトラはインド占星術独自の考え方であるようです。

この、サイデリアシステムと27ナクシュトラが入り混じったものがインド占星術となります。

理論の基礎は「ヴェーダ哲学」

インド占星術では、独特な概念があります。

西洋占星術でも、運勢の吉凶を読み取っていきますが、インド占星術では

「なぜその人は、そのような天体の配置の時に、特定の場所の特定の両親の下に産まれたのか」

を最重要視します。

これはヴェーダ哲学の考え方に由来するもので、以下のような概論となります。

「この世に生まれた人は、日々の善悪の行為の記憶を、潜在意識の深い部分に種子として蓄積し、この個人の潜在意識の深い部分に蓄積された記憶の種子がは、肉体と顕在意識を失った死後もデータとして保管され、そのデータの特性によって次の人生の環境を選択し、次の生の身体を形成する」

宇宙の惑星は+-のエネルギーを放出しています。

このエネルギーは太陽系内の惑星によって受信され、そのエネルギーは形を変えながら宇宙空間に放出します。

その結果、宇宙空間にある惑星や恒星の放出するエネルギーの状態は、地球では大地と天空の位置関係によってさらに影響をうけ、私たち人間は潜在意識でこのエネルギーを受け取ることになります。

受け取ったエネルギーは、潜在意識に種子として保存され、前の生の善悪の行為の記のにスポットを当てます。

その記憶の種類は、受け取ったエネルギーの強さによって選択され、潜在意識の欲求が、顕在意識の心や言葉・結果として今世では幸運や不幸な結果を経験させるということになりまます。

カルマの存在について

もともと運命は決まってしまっている、というのなら運命は変えられないのか、という疑問が浮かんできます。

先ほどの善悪の行為は「カルマ」と呼ばれますが、仏典では「業」、インドのサンスクリット語では「行為」または、行為の結果である「宿命」と訳されます。

カルマの法則とは

「過去(世)において行った行為は、良い行為にせよ、悪い行為にせよ、いずれ自分に返ってくる」

という因果応報の法則に当たります。

また、カルマに以下の要素があると言われています。

サンチッタカルマ

その人の過去世で積んできたカルマのうち、人間として積んだカルマだけを指します。そのため、動物や神だった過去世は含まれません。

プララダカルマ

サンチッタカルマの中の一部で、現世で経験するカルマを指します。

良いカルマの場合、人生で達成・成功や楽しみを経験します。

悪いカルマの場合、人生の挫折・失敗や悲しみを経験します。

良くも悪くもないカルマは、人生で平凡な経験をすることになります。

また、今まで人生で全く興味がなかったことを突然始めるのも、過去世の結果と考えます。人生の苦楽はプララダカルマが影響すると考え、例えば懸賞に当たったり、よく交通事故に遭遇する場合などもこれが影響すると言えます。

クリヤカルマ

自分の自由意思で作ることができる、または避けることができるカルマのことを言います。

この限られた範囲が、人が自由に行動がとれる唯一のカルマと言えます。例えばできるだけ事故に遭わないように対策をするなどです。

クリヤカルマは以下のような結果の表れ方をすると言われています。

①純粋な動機を素晴らしい結果

②不純な動機と素晴らしくない結果

③遅れて現れる結果

④現世的な結果

⑤精神的な結果

インド占星術では、この自由意思であるクリヤカルマを最大限有効に活かすために作られました。それによって長い間苦しめられてきた輪廻の世界から脱却できると考えているのです。

その人にどんなカルマがあり、いつ、どのような形で発現するのかを予測することで、よりよい人生にしていくことを目指しています。

日々の生活とカルマの結びつきについて

もし、同じことで何度も苦しむようなら、それはカルマが原因と考えます。

人は何かに苦しむとき、その原因が理解できると苦しみは減ります。そして、受け入れることで初めて人の魂は成熟します。その魂の成熟度が高ければ、相対的に苦しみは減ると考えます。

カルマを消滅させるには、そのカルマを認め、受け入れることが最も大事であり、そのツールとなるのがインド占星術と言えます。

カルマをポジティブに捉える

過去世に起因しているとなると、幸せになるのを絶望的に捉える人も入舸もしれませんが、カルマには良いカルマもあることを忘れてはいけません。

自らが持っている「良いカルマ」を最大限生かし、「悪いカルマ」を極力制御することが我々が心がける一番重要なことです。

単なるあこがれや妄想を抱くのではなく、実現可能な夢や希望は努力をすれば叶うのと同じく、自分の持っている特性を知り、魅力を最大限生かすことでその人だけのオンリーワンの人生を歩むお手伝いをするのがインド占星術だと言えます。

例えば、運動神経の良い家系で生まれた子供はスポーツ選手として活躍できる可能性があったり、逆に癌の家系で生まれると癌の発症リスクが上がる言われているように、自分の良いカルマ・悪いカルマを知ることで、病気は事前に防ぐことができ、また、魅力は活かすことができると、ヴェーダ哲学は教えてくれます。

出来れば、良いカルマを活かし、自己実現を果たしていけば、悪いカルマは自然にその中に吸収されてしまいます。良いカルマを活かしていきましょう。

インド占星術で読み取れるもの

インド占星術では大きく4段階のリーディングが可能と言われています。

ジャータカ・・職業、健康、恋愛、結婚などの個人の宿命、運勢、努力の方向

サンヒター・・天候、疾病、戦争などの社会現象の予測

プラシュナ・・相談されたときに時間・場所を基に吉凶を予測

ムフルタ・・開業、医療、結婚などの重要イベントのタイミング

一般的な①ジャータカでは以下の8項目を知ることができます。

1:自分自身・・・尖閣、先天的運、素質、家族、祖先

2:人間関係・・・職場、友人、親子、兄弟姉妹

3:金運・・金銭運、投資運、不動産運

4:競争力・・学業、試験運、才能の傾向、知識の習得、社会進出

5:仕事・・天職、適職、就職の時期、転職、商才の有無

6:健康、病気・・潜伏、発病、治療のタイミング

7:恋愛、結婚・・出会い、相性、結婚、出産

8:霊性・・精神性、宗教性、思想性、信仰性

まとめ

いかがでしたか?

インド占星術歴史も古く、また哲学をベースにしていることから、その根本思想を理解しておくことが非常に重要になってきます。

何気なく抱えている気持ちや傾向がカルマの為とわかるだけで、楽に生きられるようになるかもしれませね。

二パヨガでは、上記ジャータカを基本的に読んでいきます。

ご興味ある方はお気軽にご利用ください。

参考図書:説話社「実践 インド占星術」本多信彦